カトリック与那原教会(聖クララ教会)

  1. ホーム
  2. 沖縄らしい風景について
  3. 清(ちゅ)ら島コラム
  4. カトリック与那原教会(聖クララ教会)

与那原町にあるカトリック与那原教会(聖クララ教会)。
その地に象徴的に存在するよう、道路正面の丘の上に配置されています。
子供のころから、きれいな教会だなと思っていました。

1958年竣工、設計者:片岡献+SOM(アメリカ)
日本の近代建築100選にも選ばれたこの教会。
配置(斜面の処理の仕方)がうまいな・・・と思いました。
ステンドグラスの開口部の正面は視界が開け、与那原の町が一望できます。

その前に椰子の木を植え、斜面をつくり、通路を確保したあと、
さらに斜面、その下に植栽を施していますが、
それが下からの景観づくりに効いています。

たぶん、下からの風の吹き上げを防ぐ効果もあったのだと思います。
建築だけでなく、土木工事にも手を掛けないとつくれない景観だと思いました。

陽差しがきつい面には穴あきブロックを施して日射を遮蔽しています。
このブロックは後に「花ブロック」と呼ばれ、多彩なバリエーションへと展開し、
沖縄のブロック造の特徴となっていきます。

中庭と回廊を隔てる花ブロックは
タテ使いとなっていて、外部と表情を変えています。

中庭はグルッと一周できるようになっています。
入り口から数段上がって礼拝堂へアプローチするやり方もちょっとうまい。

この教会の特徴はモダンなステンドグラスの開口部。
そして地域性を考えて、畳式と椅子式の座席。

懐かしくて美しい、これからもそんな沖縄の建築物をみて歩きたい。

建築士 伊礼智