古民家の佇まい

沖縄の北部、今帰仁村からフェリーで1時間ほどのところに伊是名島がある。

先日、23年ぶりに伊是名島を訪れたのは、フクギに囲われた集落が残っているか?を確認するためと、久々に「銘苅家」を見てみたいと思ったからだ。

フクギの屋敷林は、残念ながら残り少なかったのだが、「銘苅家」は昔のままにあった。

その簡素で素朴で品のある佇まいに再び惹きつけられた。

その「心地よい佇まい」はどこからくるのだろう?と実測し、抑え込まれた寸法を読み取った。つくりて(建主も含む)の「良い意志」が伝わってくる。

建築はこうありたい、「佇まい」を考え直したいと素直に思わせるだけの魅力があった。

「佇まい」は建築、環境、設備、素材などのさまざまな難しい全体のまとめ方から醸し出さるつくり手(設計者、建主を含む)の良い「意志」(傲慢な表現ではなく)が現れて欲しい。「良い佇まい」はその地の空気となって建築を包み込む。

その空気を設計したいと思う。

建築士 伊礼智