石垣市立川平小学校(平成26年度)

八重山の文化・自然のよさに目を向け川平村の「いいね」を再発見しよう!

学習のねらい
  • 西表島の自然を鑑賞することで、子どもたち自らが川平の良さに気付き「郷土愛」意識を持つ。
  • 風景に視点をおいた活動に取り組ませることで、その風景の良さを発信したり、残していこうという態度を育てる。
  • 昨年度に続く学習であり、小規模校ならではの特色として多くの生徒が昨年の活動を経験していることから、今年度はさらに地域の外にも目を向けることで地域を深く学ぶ。
学習活動
  • 西表島と地元川平で風景を体験する学習を実施し、学年に応じた方法で深めまとめていった。

    ① H26.5~6   風景とは。風景への視点を考える
    ② H26.6.5   西表島の自然鑑賞・体験(NPO 支援)
    ③ H26.6~7   体験した風景を表現、深める
    ④ H26.9~10 川平の魅力を体験する・調査する
    ⑤ H26.10.7   結願祭への参加・鑑賞
    ⑥ H26.10~11 川平湾の環境を学び、考え、行動する
    ⑦ H26.9~12 風景の魅力、課題をまとめる
    ⑧ H27.2.1   学習発表会にて成果を発表

準備品
  • ワークシート(学校にて準備)
  • iPad ほか(学校にて準備)
  • 貸切バス
実施体制
  • 授 業 実 施/川平小学校
  • 事 業 主 体/沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課
  • 協   力/石垣市建設部都市建設課
  • 企画・進行/景観整備機構(NPO 沖縄の風景を愛さする会)
    石垣設計事務所
  • 講 師 協 力/西表島探検ガイド 小橋川隆一

学習の流れ

つかむ(2h)

風景学習に向けて(1年:6/4)(2年以上:5/29,6/4)

場所
  • 教室
概要
  • 事前学習。
  • めあてと注意事項の確認
    1~4年>風景とは何かな?いいと思った景色を見つける。
    2 ~ 4年>西表島の「いいね」を見つける視点を考える。
    5 ~ 6年>風景学習に対するイメージをもつ。
児童の反応
  • 色々な場所の風景を見ることで風景について興味をもち、学習のねらいを確認できた。(1~4年)
  • 景色だけではなく、その時のにおいや音など感じたことを心にとどめておくことを確認する。(5~6年)

ひろげる (5h)

「いいね!」発見 in 西表島(6/5)

場所
  • 西表島(船・バス)
概要
  • 西表島に渡り、マリウドの滝、カンピラの滝へのトレッキング、浦内川や由布島を体験
    1 ~ 2年>西表島を体験して、いいなと思う景色や動植物を発見する。
    3 ~ 4年>西表にはどんな魅力があるか、現地調査して調べる。
    5 ~ 6年>西表の自然や文化に触れ、西表島の魅力を発見する。また川平の魅力との共通点や相違点を探る。
児童の反応
  • 広大な自然に「すごい」「おもしろい」と発見を楽しんだ。(1~2年)
  • 自然の体験を通して様々な「魅力」を積極的に見つけていた。(3~4年)
  • 五感をフル活用して風景を感じていた。下級生のサポート、居合わせた観光客へのインタビューなど積極的に行動していた。(5~6年)

まとめる (5h)

発見した「いいね!」のまとめ(6月)

暑中見舞いはがきで伝える(7月)

伝えよう西表島の魅力(6月)

場所
  • 教室
概要
  • 1~2年>国語の授業で風景学習を題材に取り上げ、西表島で感動したことや発見したことを絵や文にまとめる。
    3 ~ 4年> iPad で写真を確認しながら見つけた魅力を整理しまとめる。
    5 ~ 6年>西表島の魅力についてパソコンで編集し、人に伝える意識を高める。
    たんぽぽ>写真を選びながら感じたことをまとめ、作文。
  • 1~ 4年>「はがき」で西表の風景を伝える。特に2年生は国語“はがきの書き方”の単元にて実施。
  • 5 ~ 6年>西表島の魅力について発表しあい、理解を深める。石垣島との共通点、相違点についても話し合う。
児童の反応
  • 見たもののほか、風やにおい、水の流れにも注目してまとめていた。(2年)
  • 自然に興味を持った。人のつながりを感じた。(たんぽぽ)
  • 編集作業を通して、人に伝えようとする意識が高まった。(5~6年)
  • とってきた写真を見ながら、滝やマングローブなどの様子を絵と文で生き生きと表現した。(2~4年)
  • 西表島に残る自然のすばらしさを通して、石垣島にも共通する自然の良さに気付いた。またそれを守ろうという意識が感じられた。(5~6年)

つかむ(2h)

川平のイイね探し(1年:9/16)

場所
  • 教室
概要
  • 川平の伝統文化、自然を知る(事前学習)。
児童の反応
  • 伝統行事や身近な自然の良さに気づけた。
  • 川平の良いところを話し合った。

ひろげる (3h)

「いいね!」発見 in 西表島(9/25)(3~4年: 9/25,10/2)( 5~6年・たんぽぽ:10/23)

場所
  • 川平湾
概要
  • 1年>川平公園に出かけ、川平湾のすてきな風景を探し、写真に撮る。
    2年>川平村をたんけんし訪問先でインタビュー
    3~4年>川平村の魅力を再発見しよう。村の魅力ある部分を観察し、改めて感じる魅力を探す。
    5~6年>川平に来る観光客や地元民へのインタビューにより川平の魅力を調査する。
児童の反応
  • きれいな海の眺めを改めて発見できた。(1年)
  • 視点を持って活動していくことで、新たな発見ができた。(3~4年)
  • 多くの人が川平の自然に魅力を感じていることを知り、その事実を再確認できた。(5~6年)

ひろげる (8h)

「いいね!」発見 in 川平【伝統】(各自:10/7)

場所
  • 川平村
概要
  • 川平の伝統行事、結願祭の体験。
  • 各自、結願祭を見たり参加したりした。

「この先、海です。プロジェクト」(10/16,17)

場所
  • 教室
  • 川平湾
概要
  • 身近な海の美化活動を通じて、川平の風景や環境への思いをはぐくむ。【事前学習】10/16

    (1~2年:読み聞かせ、3~4年:サンゴゲーム)
    【プロジェクト当日】10/17雨水溝にゴミを捨てないよう、ペイントをして呼びかける。道に落ちているごみを拾う。

児童の反応
  • 活動を通して、川平のきれいな海を大切にしたいという思いが高まった。(1~2年)
  • サンゴの減る原因がわかり、川平の課題に気づくことができた。(3~4年)
  • 雨水溝を観察し現状の課題を目の当たりにした。(3~4年)

守ろう川平の海(3~4年:10/30)(5~6年:11月))

場所
  • 川平湾
概要
  • 3~4年>グラスボートに乗って、川平湾の中の魅力と課題を探す。
  • 5~6年>学んだ課題(吸い殻)を解決する活動を実践として、川平公園内に灰皿を設置する。
児童の反応
  • 貴重なサンゴや珍しい魚とともにゴミを見つけ、課題を見つけることができた。(3~4年)
  • 活動を通し、海を主体的に守る心が育まれた。(5~6年)

まとめる (7h)

風景学習のまとめ

場所
  • 教室
概要
  • 1年>川平公園で見つけた風景の好きな点を、写真を見て発表(9/30)
  • 2年>川平たんけんの成果を白地図に書き込む(10/23)
  • 3~4年>川平の魅力と課題をまとめ(11月)、魅力を守るための取り組みを考える(12月)
  • 5~6年>設置した灰皿の活用状況や周辺の環境を調べ、川平の海を守っていくために必要なことを話し合う(12月)
  • たんぽぽ>サンゴのモニュメント製作(11/2)

風景学習に向けて(1年:6/4)(2年以上:5/29,6/4)

場所
  • 教室
  • 発見した「いいね」のまとめと表現
  • 学んだ課題、考えた取りくみを表現
概要
  • 川平の風景についてまとめ、発表の準備。

学習発表会で発表(H27/2/1)

場所
  • 学校 講堂
概要
  • 学習発表会。
  • 観客の前で、それぞれの学んだ成果を歌や劇、プレゼンテーションで表現する。

児童の作品

先生の声

実施にあたり工夫した点・苦労した点

<工夫した点>

  • 児童が写真を撮り、プリントして川平、西表の良さを比較しながら学習を展開できた。
  • 生活科・図工・国語等、横断的な学習にて深めることができた。
  • 1~6学年共通の体験学習のため、縦割り班での学習、学年での学習の計画、調整、実施等。
  • 導入→体験活動実践日→調べ学習→体験活動→発展学習→まとめ「発信」と、児童が球体的に取り組むことができるよう計画した。

<苦労した点>

  • “風景”=“自然”の観点だけでとらえてしまうと、西表と川平を比較するのが難しい。伝統文化、行事、地域力などを総合的に考え、発達段階に応じて学習活動を展開した。
  • 体験学習で得た快い感覚を、語彙力の制限の中で表現すること。校外での学習場面も多々あったので、安全面からも休日や放課後の調査ができなかった。

児童の反応

  • 五感をフル活動し、様々な視点で“いいね”を再発見することができていた。
  • 他教科の学習においても、様々な観点から比較する様子も見ることができた。
  • わした島の地域環境を守ることにやりがいを感じた。
  • 環境調査からショックを受ける場面もあったが、有意義な活動ができた。

教師として得られた点

  • 島外出身の教師自身も、児童と共に八重山・川平の良さを知ることができた。
  • 児童と教師が共通の体験を通し、感覚の共有が図られることで、他教科にも活用することができた。共通のテーマのもと、発達段階に応じた発展的な学習活動が展開できた。それぞれの学習を切り離すのではなく、関連づけて学習できたので有意義なものとすることができた。
  • 現在進行形で起こっている地域の課題に向き合うことで、様々な要因に触れ、地域理解につながった。