浦添市立浦添小学校(平成26年度)

ふるさとの良さを知ろう!~昔から今に続く浦添の風景~

学習のねらい
  • 小学校背後の浦添グスク周辺に点在する歴史文化資源を探検して、その存在にふれる。
  • 身近な風景の背後にある「場」の意味を捉え、調べ学習を通じて、古都浦添の風景に見る「ふるさとの良さ」に気づかせる。
  • 浦添の風景(場所)を見つめ直し、未来に残す宝ものとして後輩に伝えることで、今後の学習に生かすことができるようにする。
学習活動
  • 「ふるさとの良さを知ろう」と総合学習時間を活用し実施。昨年度より探検範囲を広げ、心に残った風景として課題を絞りこんで調べ学習を進め、次年度引き継ぐ3年生に発信した。

    ①H26.7.14  探検学習:地域ガイド及びNPOによる学習支援
    ②H26.8~9  夏休みの自主学習(学校主体)
    ③H26.9.22  学校長による特別授業(ようどれVTR教材開発)
    ④H26.9.25  調べ学習:ゲスト講師派遣、NPOによる学習支援
    ⑤H26.10~11  学習の継続とまとめ、表現(学校主体)
    ⑥H26.12.4  3年生にむけて学習成果発表(学校主体)

準備品

<探検学習>

  • ルートマップ、ワークシート
  • 補助記録紙(白紙)、マーカー(スタッフ用)
  • 探検バッグ、水筒と帽子、筆記用具(各自)
  • 熱中症対策用のあめ玉と塩の用意

<調べ学習>

  • 参考資料、古写真、グスク模型、補助記録紙
実施体制
  • 授 業 実 施/浦添小学校
  • 事 業 主 体/沖縄県土木建築部都市計画・モノレール課
  • 協   力/浦添市都市建設部美らまち推進課
    浦添市教育委員会文化部文化課
  • 企画・進行/景観整備機構(NPO 沖縄の風景を愛さする会)
  • 講 師 協 力/仲間自治会 比嘉鉦由、宮城重哲、又吉武市、
    うらおそい歴史ガイド友の会

学習の流れ

ふれる(6h)

※ 事前学習(1h)を経てH26/7/14【体験学習】【講話】(0.5h)

場所
  • 体育館
概要
  • 担任の指導により各学級、2グループに分かれて座り、校長先生から、今日の風景学習のねらいを聞く。「校歌」の歌詞には浦添の歴史や風景が深く関係する。220年間続いた王都浦添を想像しつつ、今を探検してみようと促した。
児童の反応
  • 校長先生の楽しい話に、児童が盛り上がった。「王様になったつもりで何かが見えてくる」と張り切って探検へと出かけた。

【まち探検】(3h)

場所
  • Aコース:浦添グスク~ようどれ~
    仲間集落内を探検
  • Bコース:尚寧王の道を探検⇒浦添グスク・
    城の前の碑~安波茶橋(石だたみ
    道)
概要
  • 各学級がA、Bの2コースに分かれて合計6グループで探検実施。グループごとに注意事項やルートを確認後、探検学習に出発する。児童はコースを探検して分かったことをワークシートへ記入する。
    Aコース⇒浦添グスク、ようどれなど王都の歴史と仲間樋川など地域の信仰、生活文化の風景を再発見する。
    Bコース⇒浦添グスク・城の前の碑から安波茶橋までの歴史の道を歩き、浦添と首里とのつながりを学ぶ。 
児童の反応
  • ようどれでは西室・英祖王、東室・尚寧王の話を聞き、王様のお墓にビックリ。安波茶橋では「浦添グスクと首里城がつながっている!」「昔王様が歩いた道に自分がいる」との声。
  • 暑さで現場での説明を聞くにはきつく、集中力を欠く場面もあったが最後までよく歩いていた。

【振り返り】(0.5h)※各学級で振り返りの続き(1h)

場所
  • 体育館
  • 各教室
概要
  • 体育館に戻りトイレ休憩後、輪を描いて座る。ガイドの協力を得てワークシートへの記述補足。※その後の授業で各自が心に残った風景(場所、景色等)を振り返り、次の調べ学習につなげる。
児童の反応
  • 「疲れたけどグスクからみる景色がきれだった」「歴史がわかってよかった」「夏休みに調べてみたい」などの声があがった。

つかむ(4h)

8月~9月 課題・テーマの設定(3h) ※ウェービング手法等の活用

場所
  • 各教室
概要
  • 児童の心に残った場所(風景資源)に対する関心から課題を引き出し、グループを編成する。(1学級6,7グループ、1グループ4人程度で編成)。
児童の反応
  • 浦添グスク、ようどれ、仲間樋川、安波茶橋の歴史と風景保全に関心が集まり、テーマとするグループが多かった。

特別授業(1h)

場所
  • 各教室
概要
  • 校長先生による「ようどれ(VTR)」と活用した浦添の歴史と風景の授業実施

調べる(15h)

H26/9/25 ゲスト講師を招いて【調べ学習】(1h)×3学級

場所
  • 各教室
    時間をずらして実施
    4年3組→4年1組→4年2組 
概要
  • グループ(テーマ)ごとにガイド1人と学習サポーター1人、合計2人ゲストを向かえ、各児童の進行で、インタビューを実施する。
  • ゲスト講師は、絵や図、キーワードを示すなどして児童の理解を助け、ワークシートの記述を支援する。
  • 後半、浦添市が目指す風景づくりについて、グスク模型を使った講話を行い、小学校が由緒ある場所にあり、王都の歴史と調和するまちづくりが大切なことを確認する。
児童の反応
  • 最初は緊張もあったが、慣れてくると、ガイドに「なぜ?」と質問を投げかける。「もっと知りたければ、ようどれ館に来て自分で調べてみるといい」とのアドバイスにやる気を見せる児童もいた。
  • 「浦添グスクは宝物なんだ」という市役所職員の言葉に、多くの児童が深くうなづいた。

10月~ 11月 調べ学習を継続(学校主体)

場所
  • 各教室
  • 図書館
  • ようどれ館 など
概要
  •  先生より、自分たちが見つけた「ふるさとの良さ ( 風景資源 )」について、3年生に伝えることができるよう、学習を深めることを促がす。(動機づけと学習展開)
児童の反応
  • 下級生 ( 3年生 ) に伝える目的ができたため、モチベーションがあがり、各々で主体的に学習を進めていた。

まとめる・伝える(2h)

発表準備(1h)

場所
  • 各教室
概要
  • 各グループで取りまとめ、下級生にむけて、
    発表する言葉を分かりやすくし、絵や写真を
    使うなどして制作作業を進め、発表の練習を
    行う。
児童の反応
  • どうすれば伝わるのか、知恵をだしあい、クイズを考案するなど工夫し、グループ活動を楽しんでいた。

H26/12/4【発表会】(1h )×3学級

場所
  • 各教室
    時間をずらして実施
    4年3組 →4年1組 →4年2組
概要
  • 4年生の各教室に3年生を迎え入れ、浦添グスクやようどれ、安波茶橋、番所道、仲間樋川等の歴史と風景について学習してわかったこと、テーマグループごと(7分程度)に発表後、質疑時間を設ける。3年生は先輩の発表を聞いて、気づいた点をワークシートに記述する。
児童の反応
  • 4年生の堂々たる発表に、3年生は熱心に聞き入り、クイズには多くが反応した。「仲間ヒージャーガーや浦添グスクのことをよく調べている」「来年は自分たちの番」と気合が入ったかのようだった。

児童の作品

ふるさとの良さ・浦添の歴史と風景について、紙芝居、ペーパーサーブ、パワーポイント、絵地図、クイズに表現し、下級生(3年生)にむけてわかりやすく「伝える」工夫をした。

先生の声

実施にあたり工夫した点・苦労した点

  • 学校の周りにある場所に着目して、その場所の歴史などを学習した。まち歩きをする前に、浦添の歴史に関する講話を聞き、まち歩きをしながら地域の方に話を聞けたので、地域への関心が高まった。
  • ゲスト講師を招いて話を聞いたり質問したりした際には、各グループ(4~6人)に対して講師を2人配置してもらい、有意義な時間を過ごすことができた。
  • 調べたことを発表する場では、3年生に向けて発表を行った。下級生に向けて発表するということで、言葉を分かりやすくしたり、絵や写真を使ったりと工夫して発表することができた。また、次年度風景学習を経験するであろう3年生も学習の見通しが持てたと思う。
  • 決められた時間の中での連絡、調整に苦労した。

児童の反応

  • まち歩き、ゲストティーチャーへのインタビュー、調べ学習を通して、地域のよさに気づくことができた。また、下級生(3年生)にむけた発表を設けたことで、上級生としての自覚や、浦添の良さを伝え、色々な人が浦添に興味を持ってほしいという思いが高まった。
  • 資料収集の方法や様々な発表形態を学習したことで、「伝える」工夫ができるようになった。

教師として得られた点

  • 自分たちの知らないことを児童と一緒に学べることができてよかった。児童が住んでいる地域の良さに目を向け、関心が持てるような活動を学習の中に取り入れられるよう今後も創意工夫していきたい。