平成29年度 風景学習
平成29年度は、2年目の取組みとなる那覇市立壺屋小学校の3 年生を対象に、総合的な学習の時間等を活用して、地域風土に根ざした体験・探検学習(まち歩き、工房・登り窯見学、焼物づくり)や調べ学習を進め、児童の“気づき”や自主的な“学び”から、壺屋ならではのまちの景観や人の暮らしなど、より発信を広げていけるよう工夫し風景学習のプログラムを実施しました。
児童においては「やちむんが埋め込まれた壺屋のまちは散歩して楽しい」「陶工職人の技はすごい」「壺屋の登り窯が使われますように」「古くてオシャレな壺屋のまちを案内したい」「壺屋やちむんはウチナーの誇り」など、自分たちの町として壺屋に愛着をもち、地域の担い手意識の芽生えにつながりました。
一方、先生方や保護者、関係者(地域自治体や自治会組織、NPO)等周りの大人達も、児童と一緒に学習する過程で身近な風景の価値を再認識し共感する機会となり、また、人材の発掘や地域とのつながりが深まるなど風景学習の効果が確認できました。
今後も、これまでの実施小学校の取組をモデルとして、個性に富んだ風景学習が県内の小学校へ広く普及するよう、取組みを進めてまいります。
那覇市立壺屋小学校(平成29年度)
壺屋のまちじまん! ~昔から今に続く壺屋の風景~
学習のねらい |
|
---|---|
学習活動 |
|
準備品 |
<まち探険・調べ学習>
<制作発表活動>
|
実施体制 |
|
学習の流れ
H29/6/ 7・20・21【オリエンテーション等】(3h)
概要 |
|
---|
H29/6/22【壺屋探検】壺屋のまちじまん~昔から今に続く風けいを見つけよう~(4h)
H29/6/22【ふりかえり】(1h)
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
児童の 反応 |
|
H29/6/28~7/5【表現】新聞づくり(3h)
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
【自主学習】
概要 |
|
---|
H29/11/16【事前学習】(2h)
【登り窯火入れ見学】読谷やちむんと壺屋のつながりを知ろう(4h)
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
児童の 反応 |
|
H29/11/21~24 【陶器祭りの準備と参加】(5h)
「陶器祭やっているよ~」
「安いですよ~」
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
児童の 反応 |
|
H30/2/28【焼物体験】(2h)
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
H29/12/26【課題設定】(2h)
概要 |
|
---|
H30/1~2月【制作・発表準備活動】(6h)
H30/2/13【リハーサル】(1h)
H30/2/14【発表会】(2h)
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
児童の 反応 |
|
H30/2/15
場所 |
|
---|---|
概要 |
|
児童の作品 (一部掲載)
「壺屋の町じまん~昔から今に続く壺屋の風景~」をテーマにまち探検し、登り窯の使われ方を調べるために「読谷やちむんの里」を見学、また陶器祭りでインタビューしたりと、活動してわかったこと(まちの景観や人の暮らし、壺屋の良さ等)を小冊子にまとめ、発表した。
先生の声
実施にあたり工夫した点・苦労した点
- 壺屋焼物博物館やNPOの支援を受けまち探検で古い写真を活用した。児童により興味を持たせることができテーマに迫る手法として効果的であった。
- 始めの段階で、まちの景観や壺屋の良さについて自分達の考えや気づきを発信するという風景学習のゴールを示していたので、児童の意識を一つに向けることができた。壺屋の歴史や風景の今昔、壺屋焼、人々の暮らしや信仰等、ねらいとする方向へ自然に児童の関心が向いていたので良かったと思う。
- 今年度は、多くの人に読んでもらえるよう小冊子にまとめた。より発信を広げていけるような工夫をすることで、児童の意欲をさらに引き出すことができた。また、夏休みの壺屋焼物博物館の課題や個人で調べる過程で保護者の関わりもあり、保護者の関心が高まったようだった。
- 読谷の登り窯の火入れを見学できたこと、壺屋陶器組合理事長・島袋常秀さんが工房を案内して下さったことで壺屋焼とのつながりやまちの現状について実感を伴って考えることができ、陶工の思いも感じとることにつながった。
児童の反応
- 壺屋の町の方から直接昔の話を聞いたり、見学(東ヌ窯、育陶園、読谷やちむんの里等)させてもらえたことが貴重な体験として残ったようだ。
- 「風景学習」の様々な活動を通して、まちの歴史や伝統ある壺屋焼について知識を得ながら、他の地域にはない良さがあることを感じ取り、「昔から今に続く壺屋の風景」というテーマのもと、古いものを守り伝えることの大切さやそれがこれからも残ってほしいという願いをもつことができた。
- 自分達の住むまちについて深く知ることにより、愛着や誇りをもつことができた。
教師として得られた点
- 児童と一緒に活動することで様々な発見があった。
- 壺屋の「過去・現在・未来」、「まちづくり」という視点で、町の歴史、壺屋焼の伝統、景観について改めて見つめ直すことができ、今後の教育活動へも役立つと感じた。
- 地域のその人にしか語ることができない話を聞いたり、陶器祭など地域の活動に積極的に参加したりという経験は児童にとって将来の地域貢献に大きくつながると思う。キャリア教育において重要なことを再確認できた。
保護者の反応
- 「風景学習」の活動には保護者の方がたの参加協力や興味関心を寄せて頂けた。児童の堂々たる発表に感動し、周りの大人が地域を捉え直す機会を得ることにつながった。
- 「発表会前に子どもがやちむん通りを案内してくれた。“南(ふぇー)ヌ窯”“下(しむ)ヌカー”等のイントネーションまで親が厳しく指導されて勉強になった」、「伝統を子ども達が大切に受け継げるよう、私たち大人も見過ごしていたまちにもっと目を向けていきたい」、「壺屋のまちなみや壺屋焼の特徴、瓦の重なり方等とてもわかりやすい発表に大変感心した」、「お互い声かけあってチームワークの発表。身になる学習ができていると感じた。」、「発表する姿が頼もしく大人が勉強になった」、「絵、写真、色つきで見ていてとても楽しめた。皆で作り上げた発表会なのが伝わった。」、「自分のまちを好きになることができてよかった」等、声があがっていた。